人事コンサルタントのブログ -590ページ目

● 能力考課は難しい

 私は製造業の大規模企業に勤める者です。 過去のQ&Aでもこの質問が幾つかあったようですが、私も「能力評価に関しては絶対評価は難しい」という風に思ってしまっております。理由は、色々ありますが、例えば、
 ・ 評価基準が抽象的にならざるを得ない。
 ・ 絶対主義で能力評価しようと思えば、基準を詳細に、曖昧さを排除して作る必要がある。
 ・ 一方、能力は外からは見えず主観的に判断されるものであるから、実際にはこれにより評価を行うための能力基準は作成不可能に近い
 などです。考課者に受け入れられる絶対評価基準(能力に関する)をどのように作り、運用するべきなのか、ご教示賜りたい。(人事担当者)


 おっしゃるとおり、能力評価は、相対評価、絶対評価に限らず、非常に難しいですね。 能力というのは、直接眼に見れるものではないですし、基準の作成も大変難しいです。 ですから、最近は能力評価をやめて、目に見える行動を評価するように変える企業が増えていています。

 そうは言っても、現実に能力評価がるわけですから、何とかしなくてはいけません。
 能力評価が難しいといっても、知識や技能のような修得能力は比較的簡単です。 基準作成も、等級ごとに求められる知識と技能を列挙すればできます。 基準ができますから、もちろん、絶対評価で行うことになります。

 問題は、判断力や企画力などの習熟能力です。 これらの等級ごとの基準を作成しようとしても、「言葉遊び」になってしまい、 現実的な基準が作成できません。 したがって、等級にふさわしい課業を明確にして、等級相当の課業を行っている場合における、トラブル処理や改善内容によって、習熟能力を判定するという 代替法で行うようするのが妥当かと思います。 (等級相当の仕事をしているとは限らないとか、能力を判断できる事象がないとか いろいろ問題があります)

 ひとつの方法として、 習熟能力の等級別の基準作成は、非常に難しいので、等級ごとに作成しないで 最高レベルの基準を作成し、その最高レベルに対して、どのくらい近づいているかを評価すると言う方法があります。これですと、基準はひとつだけなので何とか作れます。 評価をすると、当然高い等級の人は高得点に、低い等級の人は低い点数になるでしょうから、その辺を勘案して、3等級は30点でB、4等級は35点でBというように 等級ごとに基準を変えるようにすればよいでしょう。

 いずれにしましても、能力評価は難しいです。 ですが、この能力考課が年功を司っているのです。 同じ仕事をしている限りは、能力は下がらない、 昨年と同じか伸びる、わけですから、社員にとっては、よい評価項目と言えるのではないでしょうか。

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「失われた「売り上げ」を探せ!」

 商売の相手は「ひと」である。したがってそこには、時代の変化を超えた普遍の真髄がある。つまり、好景気であろうと不況であろうと、商売の核心は「お客に対して動機付けできているか」にある。

 その動機付けの中で最大最強のものは、「生活に別の次元を加える冒険」を与えることである。人々が持っているのは「商品」そのものに対する「欲求やニーズ」などではなく、「ワクワクする毎日を過ごしたい」という願望なのである。したがって売る側は、暮らしに「ワクワク」を加えるためにはそどうすればいいかという「教え」を持つ「マスター(師)」でなければならない。

 この「ワクワク系マスタービジネス」の精神こそ、すべての商売に通じるものなのである。
 そしてその「教え」に対して、お客が「自分の探していたものはこれだったんだ」と思うかどうか、すなわち「共感」を抱くかどうかかビジネスのカギになる。
 そうした共感の源は、まず売る側自身が「教えることにワクワクしているかどうか」にある。
この意味で、ビジネスにおいても「自分の内にあるものを表現する力=自己表現力」が不可欠な時代になっている。
 とはいっても、自分の教えを手前勝手に押しつけるということではなく、まず「お客がワクワクする世界を考える」ことからはじめなければならない。そのためには、師でありながらも弟子(お客)の意見や要望に耳を傾けるとともに、弟子よりどんどん先に新しい体験を重ねて「感性」を磨いていく必要がある。
 その上で「ワクワク系マスタービジネス」の力を最大限に高めるためには、「ネーミング」「メッセージ」「コミュニティ一」という三種の神器が不可欠になる。
それぞれ具体的なー例を挙げれば、何の「マスター」であるのかが云わる社名や屋号、商品の情
報ではなく「教え」の内容を示すPOPやDM、教えに「共感を抱いてくれたお客との接触回数を増やすこと、である。



著者: 小阪 裕司
タイトル: 失われた「売り上げ」を探せ!―商売繁盛の大冒険

● 相対考課が現実的では?

 絶対考課では基準を揃えるのが難しく、相対考課の方が現実的ではないか。

 社員同士比較して優劣をつけることがよいことかどうか?それぞれ条件もちがうわけで納得性があるかどうか、疑問があります。
 育成のためには絶対考課が必要です。人事考課は職務遂行能力の分析評価であり、言い換えれば「職務遂行能力の健康診断」です。
 基準に対して劣っているかどうか、勝っている点はどこかを判断して今後の仕事に活かしていくためであり、今後の行動を改善するためのものでもあります。
 例えば、実際の健康診断で「あなた○○さんより健康です」といわれて何か役に立ちますでしょうか。
 育成のためと考えれば、やはり、絶対考課で行う必要があります。処遇だけでいいのであれば、相対考課で行うこともできますが、組織力を必要とする企業ではチームワークが保てないので難しいようです。

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「史上最強のリーダー シャクルトン」 

 南橋探検失敗後、2年間の漂流を経て隊員全員生還という奇跡を成し遂げたシャクルトンに学ぶリーダーシップ。

◆ リーダーシップの磨き方
1 他人を思いやる気持ちと責任感を養う。部下の人生に対しては、自分が思う以上に大きな影響を与えているものだ。
2 何かを決めたら、難しくてもやり遂げる。
3 ワクワクするような職場つくりに努める。能率を上げるためには、前向きで明るい職場環境が重要だ。
4 自分の仕事の範囲を超えて、学習や付き合いの幅を広げること。物事を別の観点から見ることができれば、問題にぶつかった時柔軟に対処することができる。
5 変化の激しい世界では、方向転換して新たなチャンスを捕らえ、新たなスキルを学ぶことを恐れてはならない。
6 後退や失敗を利点に変える方法を見つける。自分が前進する好機となる。
7 過去の失敗に学ぶ。自分の失敗だけでなく、他人の失敗からも学ぶ。
8 いかなる犠牲を払っても目標を達成すると主張してはならない。適切なコストで達成すべきであり、部下に過大な負担をかけてはならない。
9 ライバルを公に批判しない。紳士的に競い合う。いずれ協力を仰ぐことがあるかもしれない。

◆ 忠実で結束あるチームのつくり方
1 行動する前にじっくりと観察する。初めての場所なら特に必要。
2 部下に関係する情報は進んで公開する。十分な情報があれば、部下も積極的に関与しようとするし、備えもできる。
3 仕事の秩序を確立し、手順を決める。これによって各人の持ち場や何をなすべきかがわかる。訓練しだいでは自分にもできるという感覚が身につく。
4 些細な仕事から難しいものまで、一人の人間がいくつも仕事を経験するようにして、旧来の階層や派閥を打ち破る。
5 可能な限り、一つの作業を共同で行う。これによって信頼と尊敬、さらいは友情が生まれる。
6 報酬や仕事量、罰則は公平に分け合う。公平でないと、誰もが嫌な思いをする。
7 自ら模範を示す。指示した仕事については時折助言する。これによって、仕事に高い基準を設けることができる。その仕事を重視する姿勢を示すことができる。
8 頻繁に集まる機会を設けて結束を強める。形式張らない昼食会などを開き、従業員が仕事以外で自由に語り合える場を増やしてもよい。

◆ 全員で危機を乗り越える方法
1 危機が発生した場合、直ちに部下に話をする。リーダーが責任を負い、行動計画を示し、支援を求める。必ず事態は好転すると絶対的な自信を示す。
2 不必要な中間の階層は取り除く。危機的な状況では、直接指揮をとるのが効果的だ。
3 選択肢をいくつか用意し、綿密に検討する。
4 供給と業務の流れをスリム化して、スピードダウンを避ける。
5 部下が軌道を離れないように、適宜チェックする。人は時間とともに、危機が当たり前だと考えるようになり、関心を失うものである。
6 不満分子は自分のそばにおいておく。不満分子を取り込み、支持を取り付ける。
7 緊張を和らげる。極度の緊張状態では、ユーモアで部下をリラックスさせるとともに、忙しくさせる。
8 過去にこだわらない。過去の失敗を悔やんだり、どうにもならないことを気に病んで、時間や労力を無駄にしない。
9 助言や情報は多方面から求める。ただし、最終的には自らの良識に基づいて決断すべきだ。
10 危機を乗り越えるために、全員を巻き込む。
11 忍耐強くあれ。事態の推移を見守るのが最良の選択である場合もある。
12 不人気な考え方を理解してもらうには、部下に十分な時間を与える。




著者: マーゴ モレル, ステファニー キャパレル, 高遠 裕子
タイトル: 史上最強のリーダー シャクルトン ― 絶望の淵に立っても決してあきらめない

「イスラームの日常世界」

 イスラームの社会は、「人間は本来弱いものだ」という人間化に基づいて成り立っている。例えば、男女が肌を見せて接触すると、人間は弱いからどうしても乱れてしまう。そのため、あらかじめ体を覆う衣服を身につけ、誘惑に負けないような状況をつくる。アルコールも同じである。

 イスラームの人々の生活は「仕事」「遊び」「安息」の3つに分けられる。この中で彼らが最も大切にするのは「安息」である。

 イスラーム社会の価値観と西洋文化の価値観は大きく異なるが、互いが共存していくためには、自分たちと異なる世界では、人々が「何を最も大事だ」と考えて暮らしているかを、その「普段着の姿」を通じて知る努力をしなければならない。




著者: 片倉 もと子
タイトル: イスラームの日常世界

● 公正な評価はできる?

 公正な評価ができるかどうか心配だ。

 人事考課と評価を区別して考える必要があります。評価とは「物の善悪・美醜などを考え、価値を定めること。」と辞書に書いてありましたが、人事考課とはその評価の範疇の中で「仕事上の行動や結果、能力を評価すること」になります。
 仕事をする中で、誰をどのように評価するかということは、基本的に自由であり、気に入ったとか、ウマが合うとか、いろいろありますが、基本的にどう思うかは自由でしょう。 そして、それにあった付き合いをすればよいことであると思います。

 しかし、人事考課と評価とは別物です。年に2回か3回、人事考課を行う時は、そのような個人的な判断ではなく、決められたルールと基準で行うことが「人事考課」なのです。人事考課は一定のルールと基準によって仕事上の行動や結果を評価することであって、決して人物評価や好き嫌いの評価ではありません。

 人事考課する前に、人事考課のルールと基準を明確にすることが大前提です。そして、「事実に基づいて、基準と照ら合わせて、ルール通りに」人事考課を行えるように考課者訓練をしっかり行うことが必要です。考課される人にも、被考課者訓練で人事考課のルールや基準を浸透させると効果的です。

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● 実力主義が不安

 急激に大きくなった会社で組織ができていません。社長は実力主義を導入して、みんなが良い思いの出来る会社にしようと努力していますが、思うように行きません。
自分自身もいつの間にか総務課長になっているが、部下を育てることができていません。他の管理者も同じ状況です。部下に目標を持たせて管理していかなければならないが、目標って一体どうやって持たせるのか?疑問と不安の毎日です。何かヒントを!(総務課長Sさん)


 管理職として、色々ご苦労なさっているようですね。 それも一つのよい経験として、頑張ってください。メールを拝見して、感じたことをいくつか申し上げます。

● 部下指導について
 Sさんは今まで上司に手取り足取りの指導を受けて管理職になられたのでしょうか? 最初の頃は別にして、多分そうではないと思います。ご自分の努力でこれまでになられたと思います。 人間は誰も「自己成長欲求」を持っています。自分を伸ばしたいという気持ちです。 Sさんももっていらっしょいますし、部下の方も持っていらっしゃると思います。

 部下の指導とは、各人が持っている「自己成長欲求」を刺激してあげることだと思います。 そのためには、経験の場を与えることではないでしょうか。 「部下をステージに上げる」 そのステージをうまく作っていくのが上司の役目のような気がします。 またそれが「部下を主役にした部下指導」だと思います。 押し付けの部下指導では効果はでません。

 もちろん、仕事の基本はしっかり教え、勤務態度等については叱るほめるが必要です。

● 目標について
 目標というと何か特別のもののように感じますがそうではありません。 目標=職務割当+達成基準 と考えるとよいと思います。 通常の指示命令に、ゴール(いつまでに、どの水準で)を設定したものが目標といえます。 したがって、明確に指示命令することが目標設定になっているということです。

● 目標管理について
 上記のように毎日が目標設定の繰り返しなのですが、これを半年(1年)単位で明確にしたものが 目標管理制度です。 まず、部門としての役割や課題を明確にします。 それを達成するために何を何時までに行うかを決め、それを部下に割り振りします。 これが個人の目標になります。 簡単にいえば、上司の仕事をゴールを決めて部下にふることが目標設定といえます。  その目標(ゴール)に対して、達成度をみることが評価になります。

● 評価に関して
 評価の中心は、上記のように目標達成度になりますが、これだけですと 結果主義一辺倒になってしまい、問題も生じます。 目標達成度のウエイトは7割くらいに押さえ、残りの3割は目標達成にいたるまでの行動(プロセス) を評価するようにするとよいと思います。

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● 自己評価の仕方

 この度初めて自己評価を提出することになったのですが、所属部署が移ったばかりで、なんとも評価がしにくいところです。どうしたものでしょう。

 自己評価の内容が不明なので詳しいことはいえませんが、自己評価の目的は

 1 自分自身が自己の仕事振りを振り返り、「気づき」を与えること
 2 社会的習熟度(客観的に自分を見つめることができるかどうか)をチェックすること

に、あると思います。特に2に関しては、独りよがりな自己評価では社会的習熟度が低いということになってしまいます。

例えば、

● 年配に多い例ですが、極端に低い自己評価をして、謙虚さを強調するとか
● 若い人に多いのですが、極端に高い評価をして、自己アピールする

のは、社会的習熟度が低いということになります。
(上司も社会的習熟度が低いとそれに惑わされますが、・・笑)

 客観的事実に基づいて、自己評価なさるのがよいと思います。
 新しい部署に移ったばかりということですので、事実や根拠のある部分はしっかり自己評価して、不明点な箇所については、標準点をつけた上で備考欄にその旨を記述しておくのがよいと思います。

 自己評価の項目の内容によっては、新しい部署でも判断できるものもありますが、その点が不明ですので、上記のような回答でご容赦ください。

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● パート・アルバイトの評価

 私は飲食店の店長をしておりますが、開店して1年が経ち、そろそろ従業員の中から時給は上がらないのかといった声が聞こえてきています。
 そこで、モラルの維持向上と、運営効率の向上を図るため、評価制度を作ろうと思うのですが、飲食業であること、1店舗でのパート・アルバイト対象であることから情意評価は出来ても、肝心の成績や能力の評価は個々人に当てはめるのがかなり難しく、ちょっと無理があるのかなぁと、思い始めています。如何なものでしょうか。(飲食店の店長さん)


 パートアルバイトの方の評価ですが、あまり難しく考えないでお店のパートアルバイトの方に求める行動をチェックシート形式で書き出し、そのような行動を行っているかどうかを評価するようになさればいいのではないでしょうか。
例えば
1 お客様には、笑顔で感じのいい挨拶をいつもしている。
2 商品知識が十分あり、お客様からの質問にいつも適切に応えている。
3 忙しい状況であっても、常にお客さんの状況を察知し、イライラしているお客様には適切な声をかけている。・・・・・・など
を作成し、3~5段階で評価して、その合計点を処遇に反映するという方法はいかがでしょう。
自己チェックを行い、上司チェックとの差異を話し合うことで、育成にもつながります。

運用上の注意点として、何点取ったらいくら時給を上げるではなく、
何点以上は時給いくらという風に設定する方が、(あるいは併用する)
賃金の膨張を防止することができます。

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著者: 山中 健児, 丸尾 拓養, 中町 誠, 中山 慈夫
タイトル: Q&A労働法実務シリーズ〈8〉派遣・パート・臨時雇用・契約社員

● フィードバック面接の仕方

 年功序列の賃金制度ですが、昨年末頃から人事考課制度を導入し、第1回の考課結果を面接にて個々に報告しました。1名だけ結果に対して異議の申し立てをして来ました。 本人に理由を言っても感情的になり、話が成立しません。皆さんはどの様に結果理由を本人に伝えているのでしょうか?(Nさん)

 人事考課のフィードバック面接についてですね。
 人事考課のフィードバック面接は、直属上司(1次考課者)が、過去半年間の仕事振り(行動や結果)に関して どこがよかった、悪かったかを確認し、今後の改善点や育成ポイントを話し合う場です。

 事前に考課基準を公開してあり、事実に基づいた考課をしていれば 納得しないなどということはありえません。

 もしそのようなことがあるとすれば、
1 事前に考課基準や、考課ルールが公開されていない
2 事実に基づいた人事考課がされていない
3 考課ルールに基づいた人事考課がされていない

  等が考えられます。

今後の対策として、
1 考課基準、考課ルールを明確にする。
2 考課者訓練等で考課の仕方をしっかり勉強する。
3 被考課者訓練にて、考課される側も勉強する。

  が考えられます。

 蛇足ですが、この人事考課のフィードバック面接の中で 処遇上の話をする必要はありません。
「~~だからボーナスが多い」とか「昇給が少ない」などの話をする必要はありません。
このような話をすると、感情的になり意味のない(逆効果の)面接になってしまいます。
育成につなげるための面接であり、処遇の事前通告の場ではないということを、面接する側もされる側も認識する必要があります。

 面接の流れについては、「評価の疑問」ホームページ版をご覧ください。
http://www.sabcd.com/