人事コンサルタントのブログ -589ページ目

「成果主義は怖くない」

 成果主義と聞いて、すべてが数字で評価されて競争を強いられる仕組みを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。しかし、それは結果主義であり、成果主義とは全く別物である。

◆ 日本の企業は今、知識産業の時代の競争力を左右する「ホワイトカラーの知的生産性」向上のために、成果主義の導入を必要としている。
さらに具体的に言えば、成果主義の狙いは、ビジネス環境が大きく変化する中で、「常に顧客に新しい価値を作り出す」ための「自己変革」を社員に促すことにある。

◆ 「成果主義は欧米流個人主義の制度である」というのは、米国の実情を知らないことからくる誤解である。
実際には米国の成果主義も、チームワークやプロセス重視など、「チーム型組織」の概念を重視した多面的な評価を取り入れている。

◆ 「成果主義=給与格差拡大」という捉え方も誤解だ。なぜなら、部門や職種が異なれば成果の表れ方にも違いが生じ、一律に給与格差をつけることはできないからだ。
同様に、人件費削減を目的とした成果主義の導入も「手段の目的化」であり、失敗に終わる。

◆ さらに「社員同士を競争させるため」に成果主義を導入するという考え方も間違っている。なぜなら現代は「競争の時代」ではなく「変化の時代」であり、その変化に取り残されないためにの「自己変革」を社員に迫ることこそが成果主義の意義だからである。

◆ 会社側は、社員に成果責任を問う代わりに、社員に対して「仕事の自由度」を保証しなければならない。社員が自分でやりたいと思う仕事をできる仕組みになっていれば、今日の負け組みも、明日の勝ち組になることができ、「敗者の切り捨て」は起こらない。

◆ 成果主義の時代に個人が問われているのは「キャリアの自立」である。
すなわち、一人ひとりが顧客と会社に利益をもたらる「新しい仕事」を提案し、それに必要なスキルや能力を磨いていくという「自立的な試行錯誤」を続けていくことである。
この能力を身につければ、どんな変化の中でも「幸せなキャリア」を作り続けることができる。
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著者: 高橋 俊介
タイトル: 成果主義は怖くない―「仕事人生」を幸せにするキャリア創造

◆ ブログ開設おめでとう

 ブログ開設、おめでとうございます。新しい記事を楽しみにしております。 
 私も昨年12月に開設しましたが、途中、仕事が忙しくて、ほったらかしのときもありましたが、誰かが読んでくれていると、何とか続けています。お互い頑張りましょう。
 人気blogを 参考にするといいですよ。

● 介護施設のパート職員

 介護施設ですが、パート職員に対しての人事賃金制度の見直しを考えています。 介護業界のパートについては短期雇用で殆どが6~8カ月程度で離職してしまうのが現状であります。短期の業務に対しての能力や成果を人事・賃金面に反映させたいのですが何かよい方策はありませんでしょうか?(Kさん)

 ひとつの方法として、望ましい行動、あるべき行動をチェックシート方式で列挙し 毎月(3ヶ月毎)、そのような行動を行っているかどうかチェックし、その点数の合計点で 時給が決まるようにすると良いと思います。時給はいくら増えるではなく、いくらになるということで毎回洗い替えにします。
 なお、ご相談とは外れますが 介護施設において、パート職員をどのような位置づけにするのか、非常に大事になってきます。 安い労働力として消耗品的に考えるのか パート職員にもそれなりの賃金と責任自覚を与えて、ある程度の長期雇用を考えるかです。
 同じ町で、2つの介護施設が前者の考えと後者の考えで運営しているところがあり、短期的には前者のほうが利益を出していましたが、今は職員からも利用者からも 不評になっているようです。後者のほうは、職員からも利用者からも評判がよく、うまく運営しているようです。
 一度、パート社員の位置づけについて、徹底的に議論なさるのが良いと思います。 以上、よろしくお願いします。
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● 2次考課と違う場合

 私の会社では一次考課を私がした後に、上司から「これでは私たち(上司)が出した考課と差が違いすぎるから訂正してくれ」と言われます。あくまでも一次を考課する人と、二次を考課する人は違う訳ですから、訂正することは必要ないと思うのですが。なんか成績を改ざんしているような気がします。 だったら一次考課は必要ないような気がします。考課ってなんなのでしょう。 人を評価するのは難しすぎます。(製造業の1次考課者Nさん)

 おっしゃる通り、評価した後、評語を修正すということは好ましいことではありません。それぞれの見方が違うわけですから、それを尊重する必要があります。また、なぜ見方が違うのか、そこをすり合わせる必要があります。

 人事考課は個人の価値観で行うものではなく 一定のルールと基準に基づいて行うものです。人事考課も仕事の一部です。仕事は自分の価値観で好き勝手に行うものではありません。ルールに基づいて行うものです。

 1次考課、2次考課がそれぞれ、ルール基準に基づいて人事考課を行い 処遇に活用する場合は単純平均して使います。 一般的に1次考課重視です。
一番近くで見ている人の評価のほうが正しいと考えます。(しっかり勉強していれば)

 人事考課は「人が人を評価する」ものではありません。 人が人の行った職務行動と結果を評価するものです。 そして、よいところいけないところを本人にフィードバックして 改善するように仕向けていくためのものです。

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● 残業の評価

 残業が多い社員に対して評価反映することは可能ですか?そもそも残業とは、上司が命じて、あるいは許可してするものですから、残業量が多いからと言って個人評価(低く)には、反映できないと思うのですか?

 そうですね。 残業は36協定の範囲内で 会社の指示により、または、社員が申告して会社が承認にすることにより 行うことになります。
会社が、指示または承認して行った残業に関して、一律的に、評価でマイナス処理することは問題があります。

 ただし、残業そのものではなく、残業に至った過程に対して評価することはできます。
 適正な仕事量で適正なレベルの仕事を与えているにもかかわらず 時間内にできない場合は成績考課(仕事の量または質)でマイナス評価となります。
 一生懸命に仕事せずに、残業になった場合は、情意考課(責任性)でマイナスとなります。
 能力不足で、仕事が遅れたのであれば、能力考課でマイナスになります。

 ただ、仕事量そのものが多い、仕事の難易度が明らかに高い場合は 逆です。そのような困難があっても、残業までして仕事を完了させようとしているわけですから、責任性でプラスの評価になります。
 突発的な会社の事情で残業せざるを得ない場合に、残業して業務を完了してくれた場合は、組織への協力=協調性でプラスの評価になります。

 残業問題は、多くの場合、管理者に問題があります。
・ 残業を野放しにしない(時間管理を行う)
・ 残業が増えないように仕事の分担をうまく行う
・ 仕事を計画的に行うようにする。改善する。

など、管理者が本来やるべき仕事をしないと、残業問題が発生します。

 管理者に、業務の効率化により残業時間をどれだけ低減するかの目標を設定させ 目標が達成できなかったら、管理者の評価を下げるという風にするとよいと思います。

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● 数値目標について

 成果主義が導入され2年になりますが、さらに、目標の定量制になろうとしています。企画デザイン部門なのですが、定量化できない仕事を担当している人が多く困惑しています。どのように考えればよいでしょうか?(印刷会社のSさん)

● まず、目標項目について
 成果というのは売り上げや利益など営業数字だけでなく、 各人に求められた役割を全うすることを言います。 一担当者が決められた期限内で、期待通りのデザインを完成させればそれはそれでひとつの成果をあげたといえるわけです。 したがって、あらゆる部門で成果主義は成立します。

● また、定量化ということについて
 仕事の責任には結果責任と遂行責任があります。 結果責任というのは、やり方方法は別にしてある一定の結果を出すという責任であり、遂行責任というのは、決められたとおりに職務を遂行するという責任です。
  どちらも大事な責任ですが、当然上級管理者は結果責任が大きく求められますし、一般社員には遂行責任が大きく求められます。
また、営業や製造などライン部門では結果責任が大きく、スタッフ部門では遂行責任が大きくなります。
 少なくても、部長クラスはどの部門も結果責任が求められますが、それをブレークダウンした部下の目標は、部門によって結果責任を問う目標になったり、遂行責任を問う目標になったりします。 結果責任を問う目標は当然数値目標になりますが、遂行責任を目標の場合は数値目標ではなく、遂行目標になります。(この遂行目標の達成したかどうかの達成指標を数値化することは可能)
 無理に数値目標を設定しようとすると、数値化しやすい項目を設定することになり、本来設定すべき目標が設定できなくなることになってしまいます。

 いずれにしましても、 企画デザインの役割を明確にすることが先決です。 役割といっても、ただ単に職務記述書(職務分掌)などによって職務内容を示すだけではなく、「どういった成果が求められているか」を明確にするということです。 そして、それを達成するために各人が何をするかとう観点で目標設定するのがよろしいと思います。

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● パートと正社員の賃金格差

 正社員とパートなど正社員以外の人たちの賃金格差は、日本は諸外国に比べて大きくなっています。しかし、その人がどういった仕事をしているかを基本に考え、仕事が同じならば賃金は同じにすべきだという考え方が、昨今主張され始めています。その一方で、正社員はパート労働に比べ拘束度や責任が重く、また立場も違うので、賃金が高くてもそれは当然だという議論もあります。あなたは正社員とパートの賃金を同じにすることに賛成ですか?反対ですか?
 NHK BS1番組「インターネットディベート」の賃金改革は必要か?の質問


 仕事が同じならば賃金は同じが原則。したがって、正社員の賃金をパートの賃金に下げる必要がある。同じ仕事を低賃金で行う人がいるのであれば、当然その人にやってもらうのが、企業の原則。あえて高い買い物をする必要はない。正社員はパートと同じ仕事をするようになったら、正社員の意味がない。パートと同じ金額でよいのでは。

 パートの金額を正社員と同じにするという考えはおかしい。低賃金で使えるパートの意味がなくなってくる。今企業では、仕事を単純化標準化して、誰でもできるようにして安い労働力でコスト競争に勝とうとしている。したがって、低賃金で使える労働力は必要である。
 高賃金で誰でもできるような仕事をしている正社員に問題がある。それを放置している経営者や管理者、変に既得権益を守る労基法に問題がある。同じ仕事で、正社員25万、パート10万を、職務が同じならどちらも15万にすれば、会社も含めてみんなハッピー。
(会社は人件費が下がり競争力つく、パートは賃金が上がる、正社員はクビがつながる。)
 あくまでも同じ仕事をしているという前提で。

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● 退職者の賞与

 当社は、賞与支給日に在籍していない者には賞与を支給していません。たとえ賞与算定となる対象期間すべてを在籍していても、支給日前に退職した者には賞与を支給しません。こうした取扱いは法的に問題でしょうか。また、支給日まで勤めて退職した場合、賞与は出ますが減額されます。これはどうでしょうか。

1.支給日在籍条項について
 賞与は、就業規則や労働協約で支給基準を定めていれば労働基準法上の賃金(労基法第11条) に当たるので、対象期間の全部または一部を勤務したにもかかわらず、支給日前に退職した者に賞与を支給しないという取扱いは、労基法第24条の賃金全額払い原則に反するのではないかとの疑問があると思います。
 このような取扱いは、就業規則や労働協約での「支給日に在籍している者にのみ賞与を支給する」という、いわゆる支給日在籍条項を根拠としているのが一般的ですが、このような条項または慣行の効力を法的にどう解釈するかがポイントになります。

 判例では、 「賞与は、 従業員にとり単なる会社の恩恵または任意に支給される金員ではなく、 労働の対価としてその支払いを義務付けられた賃金の一部であり、 支給対象時に在籍しない従業員に対しても使用者は支払義務をもつ」 (日本ルセル事件 昭49・8・27 東京高裁判決) としたものもありますが、 多くは支給日在籍を条件とする支給規定 (もしくは慣行) を正当としているようです。  (例えば、大和銀行事件 昭57.10.7 最1小判やニプロ医工事件昭57・9・8 前橋地裁)
 したがって、法的には問題ないものと思われます。
 ただし、退職日を労働者本人が選択することができない定年退職や、整理解雇等の会社都合退職については、支給日在籍条項は適用できないと判断するのが妥当でしょう。

2.支給日退職者の減額について
 退職者の減額については、賞与の意味を考える必要があります。
 古い判例ですが、「会社は、 賞与を支給日に在籍する従業員にのみ支給する扱いをしており、 従業員らもこれに納得し特に反対の意思を示したことはなかった。 従って、 この取り扱いは慣行として確立しており、 またこの扱いは賞与に対し今後の勤務継続への期待も含ませているものと考えられるが、 この期待を賞与に込めることは不合理ではなく、 公序良俗に反せず正当である」 (昭57・9・8ニプロ医工事件 前橋地裁)というのがあります。

 すなわち、賞与には継続勤務への期待がこめられているという解釈です。そうであれば、支給日に退職する人にはその期待がないのであるから、その期待分が減額されるのは致し方ないということになります。

 しかし、この考え方は過去の年功制の時の考え方(賞与は恩恵とか将来への期待など)であり、最近の成果主義では「賞与=期間中(過去)の業績配分」ということになっており、減額する根拠はなくなっていると考えるのが妥当でしょう。

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● 目標管理での連帯責任

 設計工数を15%ダウンという部門目標があり、個人目標も同じく設計工数15%ダウンを設定しました。半年後、個人的には目標を達成したのに、部門目標が達成できなかったからという理由で私の評価は「C」と上司から言われました。こんなことってあるのでしょうか?

 ありません。おかしな話です。
個人目標を達成したのであれば、BまたはAと評価すべきです。部門目標が達成できなかったのは、部門長の責任であり、あなた個人の責任ではありません。逆に、あなたは部門全体が苦戦している中、自分の役割しっかり全うしているわけです。
部下が一生懸命努力して個人目標を達成し、上司の管理不足等で部門目標が達成できなかったわけであり、それを部下の評価に結び付けてはいけません。
まさに「上司の責任を部下に押し付ける」になっています。

 もちろんこれは評価の段階での話であり、処遇に反映するときは、部門全体あるいは会社全体が業績が悪いのであれば、その総原資を調整することになります。

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● SEの目標設定

 当社はSEが9割を占めるシステム開発会社です。従来から目標管理制度を取り入れておりますが、どうもマンネリ傾向にあります。 目標の選定、評価のやり方にも問題があると思いますが、この業界で成功している目標管理制度は、どのようなものがあるのでしょうか。(管理者のOさん)

 目標管理の仕組みがわからないので、具体的なこといえませんが、「マンネリ傾向」とありますが、 評価連動型の目標管理ですと、目標項目は毎期ほとんど同じになります。
目標とは各人の「役割と課題」に「ゴール」を明確にしたもの であり、役割は毎期ほとんど同じだからです。(ゴールは毎期違うにしても)
 例えば、営業の場合、その役割は決まっており、目標項目は 売上高の確保、粗利の確保、新規顧客の獲得、などであり 毎期同じ目標項目になります。そのゴールは経営目標に貢献する水準になります。
 同じように、SE各人にも役割と課題があり、そのゴールを明確にすることで目標設定ができます。 営業の場合は、その判断指標が金額など数値化できるので判断しやすいですが SEの場合は、数値で判断できないケースが多いので、その辺を工夫する必要があると思います。

 ある会社の例としては、SEは期の初めに、今後1年間の売上高やシステムの品質、プロジェクトの採算性など、 業績に直結する「業務目標」と、IT(情報技術)やコミュニケーションの能力など、 業績に間接的に貢献する「能力開発目標」を、上司と相談しながら設定するようにしています。
 目標を立てるに当たっては、会社全体の目標を部門レベルにブレーク・ダウンし、 それをさらに個人レベルにまで落としこんだ、“ノルマ”に近い数値をベースに設定します。
 最終的な評価を決める際の、業務目標と能力開発目標の達成度の点数配分は7対3。 能力のアップに対しても当然評価はするが、それが成果につながらないと意味がない、 という考え方で行っているということです。

 目標の到達レベルについてですが、すべて数値目標がよいかどうかは別にして、後から測定できる表現にしておくことは絶対必要です。こうすることで、漠然と行っていた仕事のゴールが見え、会社にもどれだけ貢献するか自覚できるからです。

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